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カリフォルニア見たまま(16)
ここでの一日がどんなものか書いてみましょう。
仕事をしていたときの様子ですが、朝は5時半に起きて顔を洗い歯を磨いて髭を剃り髪を整えて、軽い体操をしてから朝食になります。 シャワーは浴びません。 ここはアメリカ人と異なります。 大抵の人は朝シャワーを浴び、シャンプーもします。
アメリカ人か日本人かの判定するのに私は朝シャワーを浴びるか否かを使います。 私達夫婦は今でもシャワーか風呂に入るのは夜ですからこの判定ルールでは日本人です。 家内の姉はここに長く住んで主人がアメリカ人でしたしので朝シャワーを浴びるのでアメリカ人です。 これも長年の習慣で出来あがったものと思います。 我々は夜寝る前に風呂に入らないとスッキリしなくてベッドに入る気にならないのです。 でもこちらの人はそのまま寝ます。 アメリカ人は朝目をさますためにシャワーを浴びるようです。
朝食は卵、(今はオムレツ)にプロシュートというイタリア原産の豚の塩漬けの薄切りにパン、さらにブルーベリーの入ったヨーグルトそれに紅茶です。 パンはトーストではありません。 サワードウと呼ばれるこのあたり特産のちょっと酸っぱいフランスパン風のもので最近はウイートという漂白しない小麦の粉で作ったものにしています。
レストランでの朝食のパンは色々種類があってトースト、ロール、イングリッシュ・マフィンのどれにしますか、と聞かれます。パンケーキ(ホットケーキ)やワッフル、コーン・ブレッドやビスケットの置いてあるところもあります。
卵も目玉にするかスクランブルにするかゆで卵にするかオムレツにするか、と聞かれます。さらに 目玉焼きの焼き具合はどうするかと聞かれます。 すなわち、さっと片面だけ焼くのがサニーサイド・アップ、もう少し焼くのがイージー・オーバー。これは片面を焼いたあとひっくり返してさっと焼き、中は半熟の状態。ウェルダンというと完熟卵。 ゆで卵は何分茹でるのかと聞かれます。 オムレツは中に何を入れるかと聞かれます。 ハムとかチーズとかオニオンとか。
ともかく、レストランでは選択の幅が広く注文するのが大変です。
サラダはここでの朝食には決して出てきません。日本では良く出て来るようですがこちらでは昼か夜しか出ません。
ここでの朝食に出てくるものはシリアル。 これは元々はオートミールですからオート麦のカユでミルクと砂糖をかけて食べたものですが最近はコーンフレークとか、メーカーが箱に入ったいろんなものを出していてケロッグというのが有名ですがかなり甘いものも多く、子供は好きなようです。
それから、ソーセージ。 尤もこれが日本で思うものとは全く違う味のもので、ポークのミンチに独特の味と香りをつけたもので我々の口には合いません。 ハムやベーコンもここの朝食には良く出てきます。
それに、ハッシュブラウンといってポテトを細切にしてバターで炒めたものも出てきます。
そして、朝食が済むとかばんをもって車に乗り込み会社に出かけます。これが6時半。 そして7時過ぎに到着。 いつも7時半前には仕事を始めます。 ここでは朝はだんだん早く仕事を始めるようになってきました。 その理由は道路の渋滞がひとつの理由です。 ロスアンジェルスほどではありませんが、少しづつ道が混むようになってきて皆早く出社するようになりました。
10時頃にコーヒーブレイクという休憩を取って、昼になるとランチ。 駐在の頃とか銀行時代は外に食事に出かけたものですが最後の職場のJFCではまわりに食べ物屋のない倉庫地帯に会社があったので弁当を持っていきました。 愛妻弁当を電子レンジで温めてランチルームで食べました。
むろん、時々は外に取引先とビジネス・ランチにでかけました。車に乗って町まで行くとレストランがあってイタリアン、チャイニーズ、メキシカン、日本食などへ行きました。ホテルの中のレストランも美味しいところがたくさんありました。 こちらではビジネス上の食事はほとんどがランチで夜というのは特別の時でそれほど頻繁ではありません。
夜の食事といえば会社が従業員全員をデイナーにつれていってくれました。 働く者達への感謝と社員相互の親睦を目的に色々な名目でのデイナーパーテイーがありました。 最大のものは新年会。 他のアメリカ企業はクリスマス・パーテイーをするのですが働いていた会社 JFC は日本の企業ですから新年会を毎年行っています。 場所は近くのプライベートゴルフ場の高級レストラン。 社長が会員なのでここを使います。必ず、余興を入れて、ある時はここで有名な太鼓グループの日本太鼓の演奏をしてもらいましたし沖縄舞踊を踊ってもらったり、ハワイのフラダンスがあったりにぎやかなパーテイーになります。
夕方は6時位に仕事を終え、車に乗って家路を急ぎます。夜の食事はいつも家族全員で食卓を囲みその日に起こったことを報告しあったりしました。
食事のあとはテレビを見ます。 大体見るものは決まっていて人気のホームドラマとかニュースなどです。 テレビのニュースはここへ来てすぐは同じ局のものを毎日見るようにしていました。 そうするとキャスターが同じなのでその人の英語に慣れてだんだん言っていることが分かるようになっていきました。 さらにテレビの前に英和辞書を置いて同じ言葉で知らない英語が出てくると辞書を引いて何と言っているかを調べました。 かく、テレビニュースは英語の勉強として真剣に見ました。
ホームドラマは ”Little House on the Prairie” (大草原の小さな家)とか ”The Waltons" などの昔のアメリカの田舎の家族の物語とかシカゴやサンフランシスコの最近の家族の話しなど家族ものを良く見ました。 大草原の小さな家は音声を日本語に吹き替えて日本でも放映されていたようで,私の父が見ていてすごくいい話しだと言っていたのを憶えています。
困るのはこちらのコメデイーがよくわからないこと。 特にスタンドアップ・コメデイーと呼ばれる一人漫才は早口だし最新の事件とか時の人を題材にしてのジョークを言うので分からないし、ジョークの性質が日本のものと違うのでちっともおかしくないことが多いのです。
テレビでは日本語放送が我々がここへ来る少し前頃から始まり、最初は日曜日に2時間だけ大河ドラマと週間ニュースなどを放送していました。 高橋幸治と八千草薫の宮本武蔵をやっていたと思います。 その後、日本語テレビ局も二局になり、土日に数時間の放送になり、ここ数年はテレビ・ジャパンというケーブル局が出来てNHKの番組中心に民法のドラマも放送していて24時間日本語放送が見れます。 高校野球も早慶戦もプロ野球もやっていますし、相撲中継も見れます。 このお陰でニュースも朝ドラも毎日見ていて日本の様子が手にとるように分かり日本に住んでいるような錯覚すら起こります。
つづく
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