紙のお話 その3 ジョン・ノレン またまた紙のお話をしたいと思います。 ・「ワラ半紙」について 稲や麦のワラは、製紙原料として早くから使われてきました。 「ワラ半紙」は文字通りワラを主原料とした紙でした。 ところがワラの繊維は細くて短く、紙を抄く時に水切れが悪く 生産性もよくありません。 ワラは一年に一回しか収穫出来なく、また長期貯蔵が必要となります。 嵩張る上に腐りやすく、更に廃水問題を起こしやすいのです。 でもその昔はこの紙が活躍しました。(昔は今ほど環境にうるさくはなかったのです) 皆様方も経験されていますが、テスト用紙、連絡帳等に随分お世話になった事と思います。 今ではかっこいい言葉で、エコ品とか再生紙にあたるものです。 次第にワラの使用割合が減っていき、現在は木材パルプが主原料になってきており、 ワラは一切使われておりません。 「ワラ半紙」は今や「更紙(ざらがみ)」という下級印刷用紙の品目に分類されております。 王子製紙の「苫更(とまざら)」や日本製紙の「ひばり」等のブランドで引き継がれております。 またワラを使った紙で、現在利用されているものがあります。 黄色い厚紙を覚えている方もおありでしょう。 現在は黄板紙(黄ボール・straw board)と呼ばれております。 加賀製紙や立山製紙等でしか生産されておりません。 俗に「馬糞紙」と呼ばれ、ワラパルプとボール紙クズなどを主原料とした板紙で、昔は学生帽子の 鍔やスリッパの底部分・百科事典の表紙に使われておりましたが、最近は安価な組み立て箱や 装丁本の表紙・紙菅等に利用されております。 ・「重厚長大」から「軽薄短小」へ 時代の流れでしょうか?今や余り聞くことのない言葉となってしまいました。 少し前の婦人雑誌は重かったと思います。(一冊あたり1kgを超えていたと思います) また諸々の雑誌・書籍等はその様な傾向にありました。 所謂重くて厚いのが貫録がある?ステータス?の様な事でもありました。 でも時代と共に郵便料金の値上げ・物流費のコストアップ・国内及び海外旅行の拡大等により 媒体物の紙類はその間工夫をしながら、変遷を遂げて参りました。 紙の使用量の大口であります通販関係では、一冊の重さを工夫すれば何十万と経費削減に繋がります。 例:10万部 一冊500G→450G の場合、50Gにつき5円違ってきますので 5円X10万=50万 コストダウンにつながります。 厚みを変えずに重量を軽くした紙(嵩高紙)が最近活躍しております。 また旅行ガイドブックもハンドタイプのものが多くなり、以前と比べて印刷あがりも良く 薄くて裏抜けのしないカラーものが多く出回るようになりました。 これも日本人ならではの発想であり、使い手を考えて紙の開発が進みました。 米国や他の国の考え方は、インクがのっているだけで目的や数字がわかればよいという感覚です。 日本人ほど印刷や紙にうるさい・厳しいところはありません。 印刷技術や紙の品質基準も世界一と言われる所以でしょう。 次回も紙のお話をする予定です。